# 連れ去り別居事案における住民票除票請求マニュアル ## 注意:このマニュアルについての質問は、片山は受け付けておりません。 ## 目的 このマニュアルは、子を連れて別居した相手方の現住所がわからない場合に、監護者指定・子の引渡し等の家事事件を申し立てるために、旧住所地で住民票の除票を請求する場面を想定したものです。 重要なのは、単に「除票が取れなかった」で終わらせないことです。役所で、あなたが第三者請求として正当理由を説明しても、支援措置等のため請求者(あなた)には交付できない状態であることを確認し、その経過を家庭裁判所に説明できるようにします。 ## 基本理解 住民票の除票は、本人、国・地方公共団体の機関、又は正当な理由がある第三者からの申出が相当と認められる場合に交付され得ます。本人以外が請求する場合は、同一世帯であった者でも第三者請求として扱われることがあり、正当な理由を明らかにする資料が必要です。 DV等支援措置がある場合、相手方(あなた)からの住民票、住民票の除票、戸籍の附票の交付請求・申出は、不当な目的によるもの又は相当と認められないものとして制限されます。 したがって、裁判所に提出する目的があっても、請求者(あなた)へ直接交付されないことがあります。この場合は、裁判所からの調査嘱託・照会によって住所確認をしてもらう方向で進めます。総務省通知も、特別の必要がある場合には、当事者側に交付せず、裁判所の調査嘱託に対応する方法を示しています。 ## 役所に行く前の準備 持参資料は、次の程度で足ります。 | 種類 | 例 | 目的 | | :---- | :---- | :---- | | 本人確認 | 運転免許証、マイナンバーカード等 | 請求者・来庁者の身分確認 | | 関係資料 | 戸籍謄本、住民票等 | 配偶者・親子関係の説明 | | 事件資料(あれば) | 監護者指定・子の引渡し申立書案、事情説明書案 | 家裁手続に必要であることの説明 | ## 窓口で伝えること 窓口では、次のように説明します。 *住民票の除票の第三者請求について相談に来ました。* *対象者(以下、妻または夫を指す。)は、私との間の未成年の子を連れて別居しており、私は家庭裁判所に監護者指定審判、子の引渡し審判等を申し立てる予定です。* *申立書の送達先を特定するため、対象者の現住所又は転出先住所を確認する必要があります。* *本人以外の請求ですので、正当な理由を説明する資料として、戸籍謄本、申立書案、事情説明書案を持参しています。* *もし支援措置等により交付できない場合は、住所や支援措置の有無を教えてほしいのではなく、裁判所に説明するために、なぜ私には交付できないのか、裁判所からの調査嘱託・照会であれば対応可能なのかを確認させてください。* ## 住民票の除票の請求書の記載例 請求書の「使用目的」「請求理由」欄には、次のように書きます。 *請求者(以下、あなたを指す。)は、対象者(以下、妻または夫を指す。)との間の未成年子について、家庭裁判所に監護者指定審判、子の引渡し審判及び必要に応じて審判前の保全処分を申し立てる予定である。* *対象者は未成年の子を連れて別居し、現在の住所又は居所を請求者に明らかにしていない。* *家庭裁判所への申立て及び送達先特定のため、対象者の旧住所地における住民票の除票の写し又は除票記載事項証明書について、転出先住所その他送達先特定に必要な最小限の事項の交付を求める。* *対象者について支援措置又は交付制限がある場合には、請求者に交付できない制度上の理由、及び家庭裁判所からの調査嘱託等であれば回答可能かを確認したい。* ## 交付されなかった場合に確認すること 交付不可の場合は、次の点を必ず確認してメモに残します。 | 確認事項 | 理由 | | :---- | :---- | | 第三者請求として審査されたか | 単なる相談ではなく、請求を試みたことを示すため | | 交付不可の理由 | 正当理由不足なのか、支援措置・交付制限なのかを区別するため | | 追加資料で交付可能性があるか | 再請求の余地を確認するため | | 裁判所からの調査嘱託・照会なら対応可能か | 家裁への上申内容に使うため | | 書面での回答や受付控えの書面を出せるか | 裁判所提出資料にするため | | 書面が出ない場合の担当部署・日時・回答内容 | 報告書に記載するため | ## 役所に求める回答文言の例 ### **書面回答が可能な場合は、次のような趣旨の回答を求めます。** *対象者(妻または夫)に係る住民票の除票の写し等について、請求者(あなた)から第三者請求として交付申出があった。* *当該申出については、住民基本台帳法及び住民基本台帳事務における支援措置等の取扱いに照らし審査した結果、請求者又は請求者代理人に対して交付することはできない。* *裁判所その他の国又は地方公共団体の機関から、法令に基づく請求、照会又は調査嘱託があった場合には、その内容に応じて対応を検討する。* ### **支援措置の有無を明示できない場合は、次の程度の回答でも足ります。** *対象者に係る住民票の除票の写し等について、本人以外の者からの申出として審査したが、当庁の取扱い上、請求者又は請求者代理人に対して交付することはできない。* *裁判所からの法令に基づく照会、調査嘱託又は機関請求がある場合には、その内容に応じて対応を検討する。* ## 裁判所への上申書例 令和8年(家)第***号 監護者指定審判申立事件 申立人 **** 相手方 **** # 上申書 令和*年*月**日 **家庭裁判所 御中   **第1 上申の趣旨** 申立人は、相手方及び未成年者の送達先又は居所を特定するため、相手方の旧住所地である〇〇市区町村に対し、住民票の除票の写し等の交付を求めた。 しかし、同市区町村からは、本人以外の第三者請求として審査されること、また、対象者に係る交付制限又は支援措置の取扱いがある場合には、申立人又は申立人代理人に対して除票の写し等を交付することはできない旨の説明を受けた。 そのため、申立人側では、これ以上、相手方の現住所又は送達先を把握することができない。 ついては、相手方及び未成年者の送達先又は居所を特定するため、貴庁から〇〇市区町村に対し、住民票の除票、住民票、戸籍の附票その他住所確認に必要な事項について調査嘱託又は相当な照会を行って欲しい。 **第2 確認経過** 1 確認日 令和〇年〇月〇日 2 確認先 〇〇市区町村戸籍住民課 3 請求内容 相手方〇〇〇〇の住民票の除票の写し又は除票記載事項証明書について、監護者指定審判等の申立て及び送達先特定のため、転出先住所等の確認を求めた。 4 持参資料 戸籍謄本、住民票、申立書案、事情説明書案、本人確認資料等 5 回答内容 同市区町村からは、本人以外の第三者請求として審査されること、対象者に係る交付制限又は支援措置の取扱いがある場合には請求者又は請求者代理人に交付できないこと、裁判所からの調査嘱託又は照会であれば対応を検討することが説明された。 以上 ## まとめ 住民票の除票を取得できるかどうかだけでなく、取得できなかった理由を裁判所に説明できる形で残すことが重要です。 役所では、支援措置の有無や住所そのものを聞き出そうとするのではなく、第三者請求として審査しても請求者(あなた)には交付できないこと、裁判所からの調査嘱託・照会であれば対応可能かを確認します。 その記録をもとに、家庭裁判所へ「申立人側では住所調査を尽くしたが、制度上取得不能であるため、裁判所から自治体へ照会してほしい」と言う内容の上申書を出します。 以上