弁護士の 片山ひでのり です。
この動画では、中小企業の経営者の皆様に役立つ情報をお届けしています。
今日の話題は、円安について。
現在、2022年9月の19日(日)です。
3日前ほどにアメリカでCPI(消費者物価指数)が発表されて、これが、予想を裏切って高い数字だったんですね。
これでCPIショックというものが生まれて、円安が一時期150円に迫る形で進行しました。
現在は落ち着いていて、今のレートは、143円42銭です。
今まで、140円台という円安は、日本はなかなか経験したいことがない中小企業の経営者の皆様にとってはこれは一過性なのか 長期的なのかというのが、重要な情報になると思います。
一過性なら耐え続ければ、戻りますんで、戻るんだったら、今、無茶なことをしなくてもいいってことになりますね。
ただ、一過性ではなくて、もっとどんどん進むということだったら、企業と対しては長期的な展望を持って対応することが必要になって来ます。
例えば、取引業者の売り上げが減っても、値上げをせざるを得ないどうかの判断を下す必要があるということですね。
だから、今回の動画としては、企業経営において円安が続くということは、どうなるかということは皆さん頭に入れなきゃいけないんですが、今の円安トレンドがどこまで続くのかということをお話ししたいと思います。
CPIショック、消費者物価指数が、なぜ予想値よりも高いと円安になるかという基本的な情報をまずお伝えします。
CPIつまり、消費者物価指数は、アメリカは非常に高い状態で8%を超えている状態です。年8%以上、つまりインフレが進んでいます。
8%以上が続いて、今度は、9%、10%、15%と上がっていったら抑えられなくなると困るということで、それに対応する方法としては、金利を上げるということをFRBは行うんですね。
FRBとは日本の日本銀行みたいなもので、ここが公定歩合を決めて、資金を供給したり吸収したりします。
金利を上げていくということは、インフレを抑えるためには必要なことなんですね。
で、そのインフレ率が今までの予想だと、だんだん収まってくるという風に考えられて、来年には上げられた金利が下がるというふうな予想がついていたんです。
ただ、この予想が裏切られた以上は金利は上がるのだろうということになりました。
金利が実際上がるかどうかというのは、9月21日22日に開かれるFOMCで決まります。
FOMCで金利が上がるさらにその後、金利が上がるということはどういうことが起こるかというと、円安になるというふうにつながっています。
ここで、何で、アメリカの金利が上がると円安になるかということがわかりにくいので、説明しますと、日米の金利差というものがあります。
で、今、私がトレーディングビューで見ると、日米の金利差は、今アメリカの金利が、10年債の金利で申し上げると、3.448%。
日本の10年国債の金利が、0.247金利差が、今、アメリカと日本で3.2%あるということです。
国債の金利差で3.2%ということはどうなるかというと、ノーリスクで、(為替のことは除いて)ノーリスクで年3.2%の収益を上げられるということになります。
こういった動きがあると、アメリカは世界一のお金持ちの国なので、世界中に投資したお金が、リスクマネーを嫌ってアメリカに戻るという説明もあります。
私は以前、金融機関(インターバンク)のブローカーズブローカーをやっていましたが、そこでは円キャリー取引というのが行われています。
簡単に言うと、日本で安い円を調達して、それをドルに変えて、アメリカ国債を買うということですね。
例えば、今、10年国債の金利が0.247。 0.25以下なので、0.25%で借りれます。
これをドルに変えて、アメリカで国債を買えば、その差として、3.2%の金利が得られるという取引があります。
しかも、今の見通しとしてはどんどん円安になるので、為替取引としても有利ということで、どんどん、どんどんこうやって日本の円からドルに変わるという動きが、一方的に続くんですね。
こうなると、どんどんさらに円安が続くということになります。
ここでおわかりになるように、金利差が開くということが円安に向かっているということなんですね。
さて、じゃあこの金利差を埋めるには、どうしたらいいんでしょう?
アメリカ側の金利は、インフレが収まらない限り、上がっていくということは明らかです。
今、どう考えても収まる気配はありません。
一方で、日本の金利を上げれば金利差は埋まるので、一方的な円安は止まると思います。
しかし、それは日本はできないんです。
これはもう、深刻な構造的な問題があると言われています。
日本の金利をなぜ上げられないのかということは、1点目は、日本の金利を上げた場合、信用収縮が始まって、さらに景気が悪くなる。
金利が上がるということは、資金を日本銀行が回収するということなので、出回っているお金が減るんですね。
また皆さんが資金を調達する場合の金利が上がる、住宅ローンも上がるということになれば、当然、需要は減ります。
その結果、不景気になる。
もう1個の点は、日本の債務政府の債務が、1,000兆円を超えているという事実ですね。
これは非常に重大な事実です。
1,000兆円GDP比で200%ぐらいです。
金利が、今、0.25%と、0みたいな金利なので、全く利払費が低いんですが、それでも日本の支出のうち、かなりの部分、半分近くが、国債費に回されています。
さて、金利がアメリカと一緒の3.5%になった場合には、1,000兆円の3.5%、すなわち、年間35兆円が、利息として必要です。
皆さん、日本の歳入(税金の収入)はいくらかと言うと、全部で62兆円しかないんです。
だから、金利を上げて、3.5%、アメリカと同じにした場合、日本の収入のほぼ半分以上、6割近くを充てても利息にしかならず、借金は返せない。
運営のためには、さらにお金を借りなきゃいけないということで、破綻一直線になってしまうということなので、下手に金利を上げていくと、結局、とどのつまり、出口がないということがわかっているので、金利は、もう絶対、上げないってことになってますね。
そして日本の日銀は、0.25で「公開指値オペ」というのをやって、必ず、0.25以下で国債を買い取るぞっていうことを今、絶賛やっています。ですので、金利差は、開きます。
そうすると、円安が続くというこの構造は構造的なものなので、変えられません。
円安に対して、日本がとれる対策は実は何もないんです。
外的要因で、アメリカでインフレが収まって、FOMCとかで金利を下げてくれるしかないんです。
つまり、日本に全く決定権がありません。
ということは、アメリカ次第では、どんどん金利差が開いて、円安はさらに進むという場合が考えられます。
日本の方は、金利は上げられないと決まっています。
そうすると円安というのは、これからも続くというふうに考えていただいて良いので、それに対する対応をしていただきたいと思います。
ちょっと今日は経済的なお話ですが、企業を経営するにあたって、非常に重要なお話なので、あえてさせていただきました。
今日の動画が役立ったと思う方は、チャンネル登録と高評価よろしくお願いします。
ありがとうございました。
片山ひでのり法律事務所
弁護士 片山栄範
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