親権の実績

4歳の女児の親権者が父親に指定された事例

受任時の状況

依頼者の妻が不貞行為を依頼者に咎められて、子(4歳の女児)を連れて実家に帰ってしまい、別居が開始された。夫婦共働きであり、依頼者(父)の職種は営業職。父も母も同程度の監護をしていた。

事件名

下記の事件を静岡地方裁判所に申し立てた。

  • 子の監護者の指定審判申立事件
  • 子の引渡し審判申立事件
  • 損害賠償請求事件

審判の結果

一審の静岡地裁で勝訴して、依頼者である父が監護者(*)に指定された。4歳の女児について父が監護者として指定されることは珍しい。
本件は、東京高裁に控訴されたが、控訴は棄却されて、一審が確定した。詳細は判例タイムズ1383号(2013年2月号)を参照。
本件は、従前から父と母それぞれが同程度の監護を行なっており、父にも母にも監護能力が十分にある事例であったため、父と母の両者ともに、自分が主たる監護者であると主張した。相手方(母)は、不貞行為をして婚姻生活を破壊した上、子どもを勝手に自分の実家に連れ去っている。このような点が考慮され、父が監護者として指定された。
*監護者とは、離婚まで子どもの監護をする人という意味。離婚時には、監護者が通常親権者に指定されます。

事件終了時の状況

控訴審終了後、母は、父が親権者であることに同意して、調停離婚をした。
監護者の指定の審判中、子どもは相手方の母親の家で監護されていた。そのため、監護者の指定の審判で勝訴した後に、子の引渡しについての保全決定(*)によって、子の引渡しを実行した。
子の引渡しの保全命令の実行には、実際には、現地の下見、執行官との交渉、どこで執行するかの場所の選定、子どもを引き渡してもらうようにどうやって説得をするかなど、判断が難しい点がある。
子の監護権を得る判決を得ても、実際に子どもを連れ戻すという執行手続を熟知していなければ、子どもを手元に連れ戻すことはできないということを常に意識する必要がある。
*保全決定:判決が控訴されて確定しない間であっても、暫定的に、子どもを取り戻せる決定。

父親が親権者と指定され、その後は共同監護されている事例

受任時の状況

それまでに何回か相談に来ていた30代の父親から依頼を受けて受任。
小学校1年生の長女と4歳の長男の親権を獲得したいということであった。
母親は夜間の仕事についており、父親は自営業で、夕方には仕事を終えて、子どもたちが寝るまでの面倒を見ていた。父親と母親は共働き。
家族は父親の実家に同居しており、家事の多くを父親の母親(祖母)が行っている状況であった。
そうした中、母親が実家に帰り、父親は子どもたちの引き渡しを拒否し、母親から子の監護者の指定審判、子の引き渡し審判および保全処分の申立てがされた。

事件名

母親側から、下記の事件を静岡家庭裁判所に申し立てられた。

  • 子の監護者の指定審判申立事件
  • 子の引渡し審判申立事件
  • 保全

審判の結果

監護者指定の審判を通じて、別居開始の状況や、別居前から、父親が夕方以降については、二人の子どもの監護を行っていたこと、また休日についてもほとんど父親が子供の面倒を見ていたことを主張した。
その結果、別居開始する前と同じ状況で、別居後も父親だけで監護が実施されており、子どもの監護について問題がないと認定された。
また、父親側からは、父親が監護権を取得した場合には、母親には、高頻度での宿泊を伴う面会を認め、別居後、離婚後も、父親と母親で、子どもを相互に監護する共同監護を行うことを提案した。
上記のような状況のもとで、裁判所の説得もあり、共同監護を行うことを条件に、監護権を父親が取得する和解が成立した。

事件終了時の状況

その後、数ヶ月の共同監護期間を経て、父親と母親は離婚し、父親が親権を獲得した上で、共同監護を行っている。現在も問題なく共同監護が実施されている。
夫婦の紛争が激しかったものの、父親が従前から監護を行っており、実際、問題なく監護ができていたことや、父親が落ち着いており、監護権を父親が取得した場合には、共同監護が実施できる状況であると裁判所に理解してもらえたことが解決につながった事例である。

8ヶ月の男児の親権者が父親に指定された事例

受任時の状況

夫は公務員。妻は専業主婦。妻が、子ども2人(妻の連れ子と長男)を自分の実家に連れて行き、別居を始める準備をしていることが判明。そのままでは妻が子どもを連れ去ることが予想されたので、夫が長男(当時生後6ヶ月)を連れ帰った。夫は別居のためにアパートを借りて自身の母の援助の元、長男の監護を開始した。

事件名

夫(父)が長男の監護を開始して1週間程度経過した時点で、妻(母)が下記の事件を裁判所に申し立てた。

  • 子の監護者の指定審判申立事件
  • 子の引渡し審判申立事件
  • 子の引渡の保全申立

審判の結果

一審では、監護者を父と指定する決定が出された。母が申立をした子の引渡しについては却下された(一審勝訴)。
その後、妻が東京高等裁判所に抗告したが、抗告は棄却され、父の監護権を認めた一審の決定が維持された(二審勝訴)。

事件終了時の状況

監護者が父に確定した段階で、母(妻)は親権を取得することを諦め、父を親権者として協議離婚をした。
現在父は、自身の母と共に、長男の育児に当たっている。

本件の特徴

別居開始の当時は、長男が1歳未満であったこと、父はフルタイムの公務員である一方、母は専業主婦であったこと、以上の点にもかかわらず、父が親権を獲得したと言う点が本件の特筆すべき点である。
本件は、父が自ら長男を連れて別居を始めたすぐ後に、我々に相談したことで適切な行動をとることができた事例である。
また、別居を始めるにあたっての相手方(母)との詳細な交渉過程が、LINEやメールで残っていたことにより、父が大幅に長男の監護に関わっていたこと、別居に至る経緯において、父と母のいずれが子どもを養育するかと言う点について証拠の裏付けがあったことが勝因であった。

11歳の男児の親権者が父親に指定された事例

受任時の状況

長男11歳と長女7歳。子どもの長期休暇の間に、妻が子ども2人を連れて出て行った。妻が突然、離婚を宣言し、子どもが長期休みに入るのと同時に別居が始まった。夫婦共働きで、父は営業職、母は看護師。

事件名

  • 子の監護者の指定審判申立事件
  • 子の引渡し審判申立事件
  • 審判前の保全処分

審判の結果

別居開始から、父は子どもと面会を続けていたが、長期休暇に入った長男が、父の元で暮らしたいと述べた。長男の意向調査と学校での調査をした上で、長男の意向の確認をした。
その上で、長男には、父の元から中学校に通学する積極的な意思があること及び、妹である長女との交流も面会交流を通じて行うことで継続でき、兄妹関係分断のデメリットも回避できるとのことから、長男については、父が監護することが妥当である旨の調査報告書が作成された。この調査報告書を前提として、長男の監護と父が行うこととして離婚の和解がされた。

片山ひでのり法律事務所
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