【弁護士が解説】婚姻費用の算定表の見方と注意点

【弁護士が解説】婚姻費用の算定表の見方と注意点

離婚調停や婚姻費用請求の場において、裁判所が基準とする「婚姻費用算定表」の仕組みと、安易な合意を防ぐための注意点について、以下に説明する。

1. 婚姻費用算定表の基本的な仕組み

裁判所で婚姻費用や養育費を決定する際は、支払う側(義務者)と請求する側(権利者)の収入をベースにした「算定表」が用いられる。給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払い総額(額面)」を算定表の外側の軸に当てはめ、双方の収入が交差するマスの金額が支払い額として機械的に決定される。この算定表は計算が早く紛争の長期化を防ぐメリットがあるため、実務ではほぼ絶対的な基準となっており、「自分には借金がある」といった個人的な事情を主張しても、裁判所にはほとんど考慮されない。

2. 算定表がそのまま適用できない例外ケース

算定表は万能ではなく、以下のような特定の事情がある場合は表をそのまま適用できず、本来の基準に基づく個別の「手計算」が必要となる。

調停委員の中には算定表の例外規定に詳しくない者もおり、上記のような事情があっても算定表の金額をそのまま強引に押し付けてくることがある。その場の空気に流されて安易に同意してしまうことは絶対に避け、一度持ち帰って弁護士に相談するなど、適切な計算に基づいた有利な主張を行う必要がある。

3. 「暫定婚姻費用」に対する安易な合意の危険性

調停の途中で、調停委員から「とりあえず暫定的な婚姻費用(暫定婚費)を払ってほしい」と求められるケースがある。この時、明確な根拠がわからないまま支払いの約束をしてはいけない。例えば、本来の適正額が月9万円であるにもかかわらず、言われるがまま月10万円で合意してしまうと、そのまま10万円を払い続けなければならなくなり、非常に不利な状況に陥る。

暫定的に費用を払ったからといって今後の手続きで有利に働くことは少ないため、調停委員から要求されても即答せず、自分自身で根拠となる数字を明確に確認できるまでは支払いの合意を避けるべきである。

4. 自営業者の収入算定における特有のリスク

自営業者の場合、算定表の内側に記載されている「課税総収入」の数字を用いて計算を行うが、給与所得者のように源泉徴収票で明確に決まるわけではなく、計算の過程で数字に修正が入ることが多い。そのため、自営業者は給与所得者以上に慎重に収入額の計算・検討を行う必要があり、調停の場で示された金額に安易に同意してはならない。

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片山ひでのり法律事務所
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