「お小遣い制」の危険性と、結婚前にお金の管理方法について確認すべき重要なポイントについて、以下に説明する。
夫が給料を全て妻に預け、そこから月3万円などの小遣いをもらう「お小遣い制」は、一種の経済的DVに該当する。離婚調停や訴訟の実務において、この制度を受け入れている男性の多くは、家計の収支や貯金の総額、さらにはどこの口座にお金が入っているのかすら全く把握していないという異常な状態に陥っている。自分が稼いだお金の管理を他人に任せきりにし、使途を知らないまま生活している状況がまかり通っている。
「妻を信用しているから」とお金の管理を任せるのは単なる甘えであり、チェック機能を持たせなければ相手のやりたい放題になってしまう。結果として、いざ別居や離婚となった際に、家計のお金を全て持ち去られ、手元には借金しか残らないといった絶望的な状況に陥るケースが多発している。さらには、お金がない状態から多額の婚姻費用を請求されたり、お金を奪われた上に子どもまで連れ去られたりするなど、致命的なダメージを受ける原因となっている。
かつてお小遣い制が定着した背景には、「平日の日中に銀行に行けない夫に代わり、妻が引き出しや管理を行う」という必要性があった。しかし、ネットバンキングが普及し、スマートフォンでいつでも口座履歴の確認や振り込みができる現代において、一方がお金を独占して管理する合理的な理由は存在しない。現代の適正な家計管理は、夫婦でお互いに収支を可視化し、ネットバンキング等で明示しながら、2人で話し合って共同で管理していく方法である。
親世代の風習の影響で「お小遣い制」を当たり前だと思い込んでいる人は多いため、結婚の話が具体化した段階で、必ずお金の管理方法(共同で収支をつける、ネットバンキングで定期的に見せ合うなど)を提案し、明確に決めておく必要がある。
この話し合いは、相手の本質を見極める「試金石」となる。共同管理を提案した際に、「小遣い制にしないのは私に任せてくれないからだ」などと感情論ばかりを主張し、合理的な説明や話し合いができない相手とは、決して結婚してはならない。最も重要なお金の問題で合理的な対話ができない相手とは、結婚後も理屈に合わないことを強制されることになり、結果として結婚生活が破綻する可能性が極めて高いからである。
片山ひでのり法律事務所
弁護士 片山栄範
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