丸の内OLレイナさんの子ども連れ去り事件を題材に、世界基準と日本の法制度のギャップや、日本の「連れ去り別居」に対する異常な現状について以下に説明する。
丸の内OLレイナさんは、夫が離婚に応じないため、居住地であるシンガポールから日本へ子どもを連れ去った。しかし、シンガポールは共同親権の国であり、同意のない子どもの連れ去りは違法である。さらに国境を越えた連れ去りであるため「ハーグ条約」が適用され、和解の結果、子どもはシンガポールに戻されることとなった。強制送還ではなく、条約に基づき「違法に連れ去られた子どもを元の居住地に戻す」という世界基準の適正な手続きが行われた結果である。
シンガポールや欧米諸国などでは、共同親権が主流であり、親の都合で実力行使により子どもを連れ去る行為は明確な違法行為として扱われる。連れ去った側が決して有利にならないのが世界の常識である。
一方で日本では、母親が子どもを連れ去る行為が「当たり前」のように受け取られ、非難の声を上げる風潮が乏しい。日本では「単独親権で母親に有利な判断が出やすい」という認識が広まっているため、海外から日本へ子どもを連れ去ろうとする誘惑が強く働いてしまう構造がある。福原愛さんの台湾からの連れ去り問題も、同様の背景から引き起こされた事案である。
レイナさんは年収5億円以上という高収入であり、彼女の浮気が原因で離婚に至ろうとしている。一般人である夫が離婚を拒否し生活費を求めるのは、男女の立場を逆に考えれば当然の主張である。
レイナさんが取るべきだった正しい行動は、子どもを実力行使で連れ去ることではなく、シンガポールの法律に従い、子どもの居住地や面会などの条件についてきちんと協議・裁判を経てから離婚手続きを進めることであった。
海外に住む日本人夫婦間では、連れ去りが違法とされ子どもが元の場所に戻されるという当然のルールが適用される。しかし、日本国内の事案になると、母親が連れ去った場合は子どもが戻されず、相手の親が面会すらできない状態が多数放置されている。さらに、裁判所までもがこうした実力行使による連れ去りを肯定してしまう現状は、極めて理不尽で異常である。
日本も海外諸国と同様に、「子どもの連れ去りは悪いことであり、元の場所に戻す」という原則と制度を早急に導入し、定着させる必要がある。
片山ひでのり法律事務所
弁護士 片山栄範
静岡県弁護士会所属
登録番号 40459
〒422-8034
静岡市駿河区高松3227