日本の面会交流調停におけるハードルの高さと、裁判所の消極的な判断の問題点について、以下に説明する。
子供が乳児や幼児など小さい場合、面会を実施するには子供を育てている同居親の協力が必要不可欠となる。しかし、同居親が「相手を嫌っている」「会わせたくない」と強硬に拒絶すると、別居親に暴力などの落ち度がなく、別居前は良好な関係であったとしても、裁判所は「同居親の協力が得られないから面会できない」と安易に判断してしまう。客観的な事実の検証がないまま、同居親の感情や一方的な拒絶だけで面会が断絶される理不尽な運用が多発している。
このような事態が生じる根本原因は、日本の裁判所が面会交流を「父親・母親の権利」として認めていない点にある。親であれば子供に会いたいと思うのは当然であるにもかかわらず、裁判所はこれを権利として認めず、「子供のためになる場合のみ認める」という考え方をとっている。しかし、2〜3歳の幼い子供が自分自身で意思を主張できるわけがなく、結果的に、日々世話をしている同居親の影響がそのまま反映され、同居親が「嫌だ」と言えば面会が実現しない構造になっている。
同居親が「子供が別居親を嫌がっている」と主張して面会を拒む場合、裁判所の安全な環境で実際の親子の様子を観察する「試行的面会」という調査方法が存在する。同居親の顔色を窺って「パパ嫌い」と言っている子供でも、実際に会えば喜んで遊ぶケースは多いため、事実確認として非常に重要である。しかし、同居親がこの調査のための同行すら拒否した場合、裁判所はそれを不適切な態度としてマイナス評価するのではなく、「連れてこられないなら仕方ない」と簡単に諦めてしまう。裁判所の調査にすら協力しない同居親を許容してしまうことは、裁判所の判断における最大の問題である。
同居親の抵抗を減らすため、親同士が直接顔を合わせずに済む「第三者機関」を利用する解決策もある。本来であれば、第三者機関が間に入るのだから「子供を連れてくることくらいはしなさい」と裁判所が毅然と命令すべきである。しかし、同居親が全く歩み寄らず頑なに拒否し続けた場合、裁判所は「第三者機関を入れても面会できる状態ではない」と、またしても同居親の強硬姿勢を追認してしまう。同居親が一切折れなくても面会不実施が正当化されてしまうのが、現在の面会交流調停の理不尽な現状である。
片山ひでのり法律事務所
弁護士 片山栄範
静岡県弁護士会所属
登録番号 40459
〒422-8034
静岡市駿河区高松3227